「集中力が続かない」「人と関わるのがつらい」といった悩みや、「これなら無理なくできる」という得意なこと、日々の仕事の中で感じることは人それぞれですよね。
今回は、うつ病の方、うつ病経験のある方89名を対象に、働く上で得意な仕事・苦手な仕事、そしてそのエピソードについてアンケートを実施しました!
アンケート概要

調査内容:「得意な仕事・苦手な仕事」に関するアンケート調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年12月18日~2025年01月01日
対象者 :うつ病の方、うつ病経験のある方
調査人数:89名(男性39名 女性50名)
年代 :10代(1名)・20代(15名)・30代(34名)・40代(20名)・50代(14名)・60代以上(5名)
質問事項
1. 年齢を選択してください
2. 性別を選択してください
3. 仕事で得意なことは何ですか?
4. 具体的なエピソードを教えてください。
5. 仕事で苦手なことは何ですか?
6. 具体的なエピソードを教えてください。
7. 苦手な仕事をする際、どのような工夫をしていますか?
アンケート属性は次の通り。
■性別
- 男性39名(43.8%)
- 女性50名(56.2%)
■年代
- 20代 15名(16.9%)
- 30代 34名(38.2%)
- 40代 20名(22.5%)
- 50代 14名(15.7%)
- 60代以上 5名(5.6%)
得意な仕事1位:書類作成

■仕事で得意なことは何ですか?
1位:書類作成(報告書、マニュアルなど) 31票(34.8%)
2位:データ整理 21票(23.6%)
3位:メール対応 9票(10.1%)
4位:電話対応 5票(5.6%)
5位:経費精算 4票(4.5%)
6位:来客対応 2票(2.2%)
7位:新人教育 2票(2.2%)
8位:チーム管理(スケジュール、指導など)1票(1.1%)
・その他 14票(15.7%)
※少数点第2位以下は四捨五入
最も多かったのは「書類作成」で、34.8%を占めました。続いて「データ整理」が22.7%、「メール対応」が19.1%という結果になりました。
これらの業務に共通するのは、比較的自分のペースで進めやすい点かもしれませんね。
得意な仕事の具体的なエピソード

得意な仕事に関する具体的なエピソードをもとに、「どんな仕事が得意なのか」「どんなところに安心感ややりがいを感じているのか」を詳しく見ていきたいと思います。
第1位:書類作成
女性・30代
私はデータ整理など細かい仕事が好きで、一人で集中してできる仕事が得意なので、データ整理の仕事を好んで取り組んでいます。
女性・20代
男性・30代
女性・30代
男性・20代
男性・30代
「書類作成」と回答した人の多くは、「自分のペースで作業できること」や「他人との関わりが少ないこと」に安心感を覚えるようです。
人と接する機会が少ない仕事は、ストレスが少なく集中しやすいという声が多く寄せられました。
第2位:データ整理
女性・30代
男性・30代
女性・20代
男性・20代
「データ整理」と答えた人は「決まったルールやマニュアルがあり、一人で集中してできる環境が合っている」と感じているようです。
人と話すことが苦手な人にとって、静かに作業できる仕事はストレスが少ないのかもしれません。
第3位:メール対応
女性・20代
男性・30代
女性・30代
男性・20代
メール対応の大きな魅力は、直接のやり取りがないことで「気が楽」と感じられる点です。自分のペースで考えながら進められるため、ストレスが少ないと感じる人が多いようです。
第4位:電話対応
男性・30代
女性・20代
男性・20代
対面ではなく、声だけでコミュニケーションを取る電話ならではの安心感や、相手の感情を読み取るといった自分のスキルを活かせるという部分が、得意と感じる理由かもしれません。
第5位:経費精算
女性・30代
女性・20代
男性・30代
経費精算の仕事は、決まった手順をしっかり守りながら進める必要があるため、ルーチンワークが得意な方や几帳面な方にとってはやりやすく感じるのかもしれません。
第6位:来客対応
女性・30代
男性・30代
優しい雰囲気や丁寧な対応などの相手との繋がりを深めることが得意な方の多くが「来客対応」が得意だと回答しました。
第7位:新人教育
男性・30代
女性・30代
新人教育が得意な人は、新しい人と関わることを前向きに楽しみ、教えることにやりがいを感じているようです。
その他
女性・30代
男性・30代
女性・20代
男性・30代
自分で考案した料理を提供してお客様に喜んでいただけることで精神の安定と生き甲斐を感じて生活しています。
一人で進められる仕事や自営業の仕事などの自己完結できる仕事を得意だと感じる人が多いことが分かりました。
また、感謝されることでやる気が出るという意見も目立ちました。特に介護の仕事では、「ありがとう」の言葉がモチベーションとなっているようです。
苦手な仕事1位:電話対応

■仕事で苦手なことは何ですか?
1位:電話対応 29票(32.6%)
2位:会議・プレゼンテーション 19票(21.3%)
3位:営業活動 17票(19.1%)
4位:来客対応 7票(7.9%)
5位:新人教育 4票(4.5%)
6位:書類作成(報告書、マニュアルなど) 4票(4.5%)
7位:チーム管理(スケジュール、指導など) 2票(2.2%)
8位:メール対応 2票(2.2%)
9位:経費精算 2票(2.2%)
・その他 3票(3.4%)
※少数点第2位以下は四捨五入
苦手な仕事1位は「電話対応」で、32.6%を占めました。続いて「会議・プレゼンテーション」が21.3%、「営業」が19.1%という結果になりました。これらの結果から、人と直接コミュニケーションを取る業務に苦手意識を持つ方が多いことが分かります。
苦手な仕事の具体的なエピソード

苦手な仕事に関する具体的なエピソードをいただいたコメントをもとに、どのような仕事が苦手で、どんな点において不安やストレスを感じているのかを詳しく見ていきたいと思います。
第1位:電話対応
女性・30代
女性・20代
男性・20代
男性・20代
女性・30代
男性・30代
電話対応が苦手だと感じる理由には、臨機応変な対応を求められることや、相手の顔が見えないため状況を把握しづらいことがわかります。
さらに、過去のクレームや怒鳴られた経験がトラウマとなり、電話そのものが精神的な負担になってしまうケースあるようです。
第2位:会議・プレゼンテーション
女性・30代
女性・20代
男性・30代
男性・20代
女性・20代
人前で話すことがプレッシャーになり、緊張して頭が真っ白になったり、冷や汗や過呼吸といった身体的な症状が現れることがあるようです。
さらに、他人からの質問や批判的な発言に対して責められているように感じることで、精神的にも大きな負担を感じている方が多いことが分かりました。
第3位:営業活動
女性・20代
そこに合わせて物を売るだったりが出来ない
商品の紹介まで出来てもこれ買いませんか?入会しませんか?の後押しが出来ない
(この人からどう思われるか不安の方が勝つ)
男性・30代
男性・20代
女性・30代
男性・30代
営業活動が苦手な理由には、対人関係に対する不安や、初対面の緊張が大きく関係しており、「どう思われるか」という意識が強く、商品の購入や入会を勧めることに抵抗を感じる人も多いことが分かりました。
また、人の名前や顔を覚えることや空気を読むことに苦手意識がある場合も、営業活動が負担に感じられるようです。
第4位:来客対応
女性・30代
女性・30代
男性・30代
男性・30代
来客対応が苦手な方は、「予測できない状況に対応しなければならない難しさ」や、「人と関わることへの不安」を感じています。
また、慣れない場面で臨機応変に動こうとすることでパニックになったり、終わった後に疲労感を強く感じてしまう人も多いようです。
第5位:新人教育
男性・20代
女性・20代
女性・20代
新人教育が苦手だと感じる理由には、「伝え方や相手とのコミュニケーションに悩む」というコメントがありました。
一方的にならないように気を使うあまり、自信を持って教えることが難しいという意見が見られました。
また、相手の反応に悩んだり、思い通りにいかないことがストレスになるケースもあるようです。
第6位:書類作成
女性・30代
女性・20代
男性・20代
専門的な内容や大量のデータ整理が求められると、特に辛さを感じる方が多いようです。
また、自分の作業をまとめたり成果を報告する行為にプレッシャーを感じることも、負担になっているようです。
第7位:チーム管理
女性・20代
男性・20代
他の人へのフィードバックや評価が難しいと感じる方がいました。特に、相手に改善点を伝えることに対して抵抗を感じる人が多いようです。
また、スケジュール管理に苦手意識があり、変更が頻繁になることがストレスの原因になっていることも分かりました。
第8位:メール対応
男性・30代
メール対応が苦手な方は、どのような内容を書けば良いか分からなくなることがあり、悩んでしまうことがあるようです。
このような不安が、メール対応への苦手意識につながっているのかもしれません。
第9位:経費精算
男性・20代
女性・20代
ミスが許されないというプレッシャーに対する苦手意識を抱く方が多く、特に数字の見落としや忘れ物が多発して時間がかかることが悩みだというコメントがありました。
その他
男性・30代
女性・30代
女性・20代
苦手な仕事や状況として、対応が難しいお客様への接客や自分の考えを言葉にすることが苦手で、誤解されてしまうことがあるというコメントがありました。
また、うつ病の症状によって朝がつらく、通勤が体に大きな負担となるため、働き方にも制約が出る方がいるようです。
苦手な仕事をどう乗り切る?

実際に苦手な仕事を乗り越えるために行っている工夫を集めてみました。
事前準備をしっかり行う
女性・30代
例えばテキストコミュニケーションを取る際は、必ず事前に一度チェックし、不明点がある際はchatGPTに確認してもらっています。その他にも、○○は○○という手順で行う、といった形で、やる順番や行うことを固定化させた上で取り組めば、ミスを大きく減らすことができます。chatGPT等のAIサービスができてから大きく改善できるようになりました。
女性・20代
男性・30代
事前準備をしっかりすることで、ミスを減らし、緊張も和らげることができると感じている人が多いです。特に、やる順番や手順を決めておくことが効果的なようです。
自分のペースを守る
女性・20代
男性・30代
自分のペースを守ることで、余裕を持って業務に取り組むことができると感じている方が多いようです。瞑想やゆっくり話すことなど、心を落ち着ける方法を取り入れることで、焦らずに仕事を進めるというコメントがありました。
できる人の真似をする
男性・20代
女性・30代
できる人の真似をすることで、スキルを上達させようと工夫をしているようです。特に、周囲の上手な人の行動を参考にし、自分の対応に活かすことで、業務の効率や自信を高めることができるのかもしれません。
気持ちを切り替える
女性・20代
男性・20代
気持ちを切り替えるために、ご褒美を設定したり、経験として捉えて取り組む方法をとっているようです。また、緊張を和らげるために、安定剤を飲んだりして心を落ち着けてから挑戦することでプレッシャーを軽減し、取り組みやすくしていると感じている方もいます。
その他
女性・20代
男性・20代
女性・30代
その他の方法としては、苦手な仕事はなるべく引き受けないようにする、必要な場合は人を頼るという方もいらっしゃいました。
まとめ

うつ病の方、うつ病経験のある方89名に、得意な仕事、苦手な仕事について聞いたところ、以下のことがわかりました。
- 得意な仕事1位:書類作成
自分のペースで進めやすい業務が得意と感じる方が多い - 苦手な仕事1位:電話対応
コミュニケーションを取る業務を苦手と感じる方が多い
自分のペースで進めやすい業務が得意と感じる方が多く、人と直接コミュニケーションを取る業務に苦手意識を持つ方が多いことが分かりました。また、事前準備をしっかり行う、自分のペースを守る、できる人の真似をする、気持ちを切り替えるなどの工夫をして、苦手な業務を乗り越えている方が多いようです。
その他にも苦手な仕事はなるべく引き受けないようにし、必要な場合は人を頼るという方もいらっしゃいました。困ったときに人を頼るスキルは、働く上で大切なポイントと言えそうです。


